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PCを手入れすれば、性能を取り戻せるのか? ~グリスを塗りなおしてみた~

この記事の補足を書きました : PCは手入れすれば、性能を取り戻すのか? ~前回記事の結果と注意点~ ※この”前回記事”というのは、この記事のことです(次回の前回なので、つまり今回。分かりにくくてすみません)。

最近、ノートPCがかなり重くなってきていました。

僕は、プログラムをAtomエディタとMSYS2という環境で書いてるのですが、文字をいくつか打ち込んだら止まるみたいなことがよく起きてて、これは何とかしたいところ。元々Atomエディタは重いという評判のエディタではありますが、以前は普通に使えていたので、エディタだけの問題ではなさそうです。

ブログを書くときにも似たようなことが起きてて、そのせいでプログラムを書くこともブログを書くことも億劫になってしまっていたので、なおさらどうにかせねばと思っていました。

考えられることは、PC内部に熱がこもってしまっているせいってくらいです。こういう現象は夏になって暑くなってきてから出てきた現象だってことと、去年は何ともなかったことを併せて考えると、おそらく熱排出の問題が一番確率が高いのではないかなぁと。

※エアコンを点けずに過ごしていたら、部屋の温度が38℃近くまで上がったことがあったんですが、そのときは、まったく動きませんでした。

そこで色々調べてみると、CPUにはヒートシンク(冷却器。金属製で、平たい面に大量のヒダが付いてるやつ。この平たい面に温かい部分を押し当てると、熱がたくさんのヒダに伝わって、熱を効率的に排出できる。要するに、空気と温かい面との接触面積が疑似的に大きくなるから冷えやすくなるってことですな)が取り付けられてるんですが、そのヒートシンクに熱を伝えやすくするためにCPUにグリスが塗られています。

そのグリスは時間が経つとともに劣化してきて、ヒートシンクに熱を伝えにくくなってきてしまうらしいのです。

そこで、今回はメーカー保証もすでに切れているということで、一度PCを分解してグリスを塗りなおしてみました。

※PCを分解するとメーカー保証の対象外となることもあるので、よく確認してから行ってください(大半はそうだと思いますが)。

※PCを分解する前に、大切なデータはバックアップを取ることをお勧めします。作業中にショートしてしまってPCが壊れてしまったとかになると悲惨ですから。

※この記事を参考にPCの分解をする場合は、自己責任でお願いします。この記事のせいで損害を被ったとしても、筆者は責任を取りませんので、あらかじめご了承願います。

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結論

まず結論からまとめておきますと、次の3点になります。

  • 発熱量は大体2℃から10℃ほど減った
  • Cinebenchスコアはよく分からん
  • 体感的には少し軽くなった(気がする)

方法の詳細は次節で説明しますが、発熱量はCinebenchを動かしながらパフォーマンスモニターで測りまして、その結果を1分ごとに記録していきました。この計測を作業の前後で2回ずつ行いました。

その結果がこちらのExcelファイルになります。軽い考察も書いているので、興味があればご参照くださいませ~。

より詳しくはExcelファイルを見ていただきたいんですが、スマホから見ている人は、Excelファイルを開けない可能性もあるので、上の結論を軽く解説してみます。

発熱量に関してですが、最大値を比較してみると、グリスを塗りなおす前が2回の計測とも346K(=73℃)だったのに対して、グリスを塗りなおした後は341Kと340K(=68℃と67℃)でした。ということで、最大値を比較すれば、4℃から5℃減少したことになります。

発熱量の平均値は、作業前が341.5K(=68.5℃)と339.8K(=66.8℃)だったのに対し、作業後が338.0K(=65.0℃)と334.1K(=61.1℃)という結果でした。

このことから、全体的な温度としてはおおよそ2℃(=339.8 – 338.0)から7℃(=341.5 – 334.1)だけ減少したということが分かります。

最大値が最大5℃の減少、平均値が最大7℃の減少というのは、ちょっとだけ手を加えただけということを考えれば、まぁまぁ良い結果なのではないでしょうか。

Cinebenchスコアはグリス塗りなおし前と後では、一貫した傾向が見られませんでした(なので、”よく分からん”と書いています)。結果をまとめたExcelファイルを見ていただければわかるかと思いますが、室温がかなり影響しているんだろうなぁって感じでした。

もっと正確な比較をするには、室温を同じにした状態で測定した方がいいんだろうと思いましたが、僕の環境ではほとんど不可能だったので、室温は一定にはしませんでした(できませんでした)。

とはいえ、グリス塗りなおし前と比べて塗りなおし後では、ファンがそんなに稼働しなくなったので、グリスを塗りなおしたことによる効果はあったのではないかと思っています。

個人的な体感では、少し速くなったように感じます。「グリスを塗りなおしたんだから速くなるはずだ」という思い込みによるプラシーボ効果かもしれませんが、一応速くなったような気がします。

とはいえ、プログラムを立ち上げるときの速さは、そんなに速くなったような感じはしませんでした。もう3年以上使ってるHDDなので、おそらく仕方ないことなんだろうと思ってます。

以上のような結果になりましたが、何をどうしてこういう結果になったのか、次の節以降でもう少し具体的に説明していきます。

方法

作業の骨格

作業の大まかな手順は次のとおりです。次に番号付きで書いているのはあくまでも作業の骨格です。各手順でのより具体的な操作は、その先で説明します。

  1. Cinebenchとパフォーマンスモニターだけを起動した状態で温度計測
  2. ノートPCを分解して、ホコリを取り除く
  3. ホコリを取り除いてからグリスを塗りなおす
  4. ノートPCを元通りに組みなおす
  5. Cinebenchとパフォーマンスモニターだけを起動した状態で温度計測

注意点なんですが、この作業手順を見てもらうと分かる通り、ホコリを取り除くという作業も一緒にやっています。なので、上の節で説明したような結果になった原因がグリスによるものか、ホコリ除去によるものかは分かりません。まぁ、どっちも影響してるとは思いますが。

途中で必要な道具なんかはこの記事の最後で紹介しているので、よかったら参考にしてみてください。

手順1

この手順ではCinebenchでテストしながら温度計測をします。要するに、比較対象を作っておこうってことですな。

CinebenchというのはCPUの性能を測るためのソフトです。今回はCinebench R23を使いました。それなりに高い負荷をかけ続けて、温度がどう推移するのかを見たかったので。

Cinebenchは、本来はCPUの性能を測るために使われるものなので、Cinebench以外のアプリケーションをすべて終了した上でテストするのが(おそらく)本来の使い方です。その意味で考えれば、パフォーマンスモニターも終了した状態でテストするというのがCinebenchの本来の使い方なのかと思います。

しかし今回は、”同一”CPUに対して、温度についての相対評価ができればいいので、パフォーマンスモニターを起動しながらCinebenchでテストしました(パフォーマンスモニターとCinebench以外のアプリケーションはすべて終了しました)。※パフォーマンスモニターでの温度監視の方法は、この記事の最後の節をご参照ください。

Cinebenchを動かしているときにも温度に多少のばらつきが出るっぽいので、温度の記録は1分ごととしました。それに対して、室温の記録はテスト開始時の一回としましたが、室温は高々10分や20分程度では変わらないだろうと思ったので、テスト開始時に一回記録するだけとしました(実際、室温はテスト開始前とテスト終了後では変わっていませんでした)。

一応、2回の計測をしてみまして、室内の温度とパフォーマンスモニターで表示された温度を記録しました。本当は5回の予定だったのですが、1回あたり15分近くかかってしまうことを考えると、グリス作業の前後を合わせて、テストだけでも2時間半(=150[min] = 2*5[回]*15[min])かかってしまうことになって、そこまで時間はかけたくないと思いました。

できれば1時間以内で終わらせたいと思ったので、2回(2*2[回]*15[min]=60[min])としました。まぁ、厳密な科学実験ではありませんし、このくらいユルユルな考え方でもいいかと。

肝心の測定結果は次の節で説明します。この説では手順をすべて説明させてください。

分解

Cinebenchでスコア計測と温度計測が終わったら、分解してCPUに塗られているグリスを新しいグリスに塗り替えます。

まずは、電源とバッテリを取り外します。バッテリも取り外しておかないと、作業中に感電したり、場合によっては回路がショートして壊れてしまうかもしれないので、しっかりと取り外しておきます。

バッテリを取り外したら分解作業に取り掛かります。背面を見ると、ねじが取り付けてあるので、ドライバーで取り外します。この記事の最後で紹介しているドライバーセットに付属していたテコ棒が役立ってくれました。取り外した結果がこちら(図1)。

図1. カバー取り外し後のPC背面

ここで気になったのがファンの部分の拡大図です(図2)。

図2. ファンに溜まったホコリ

かなりホコリが溜まってしまっています。こんなにホコリが溜まってるとは思っていませんでした。もしかして、こいつらが熱を溜め込んでたせいで分針動作(訳:1分ごとにしか動かないレベルの重い動作)になっていたのでは?

さすがに看過できないのでホコリを取り除きます。

そして、本命のCPUです。ファンに熱を伝えるために管(のようなもの)が取り付けられているので、それを取り外すと、このようになっています(図3)。

図3. グリスを拭き取る前のCPU

もともと塗られていたグリスがあるので、これをキッチンペーパーで拭き取ります。すると、次のように金属光沢の美しい面が現れます(図4)。

図4. グリスふき取り後のCPU

写真に撮るのは忘れていましたが、熱を伝えるためにCPUに取り付けられていた面にもグリスは塗られているので、そちらも拭き取ります(図1の銅色をした四角いやつ)。

グリスを拭きとることができたら、CPU側にのみグリスを付けてヘラで伸ばします。

あとは逆の手順で組みなおして作業終了です。

再計測

手順1と同じ方法で温度とCinebenchスコアを計測します。

以上の作業を終えた後の結果が次の節です。次の節の結果をもとに、最初に説明したような結論になりました。

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結果

上の節で説明した手順で測定したところ、ざっくりと次のような測定結果となりました。もっと詳しく知りたい方は、結論の節でも紹介したように、こちらのExcelファイルをご参照くださいませ~。

結果の要約

作業前

計測1_1
・室温:27.7℃
・CPUの平均温度:68.5℃
・最大温度:73℃
・Cinebenchスコア:2920pts

計測1_2
・室温:25.6℃
・CPUの平均温度:66.8℃
・最大温度:73℃
・Cinebenchスコア:2920pts

作業後

計測2_1
・室温:26.5℃
・CPUの平均温度:65.0℃
・最大温度:68℃
・Cinebenchスコア:2924pts

計測2_2
・室温:28.7℃
・CPUの平均温度:61.1℃
・最大温度:67℃
・Cinebenchスコア:2882pts

ということで、無事に性能が上がった(というより、下がってた性能を元通りに戻すことができた)ことが確認できました。実際、ブログもストレスなく書けるようになりました。めでたしめでたし。

とはいえ、今回の調査には多少注意が必要な部分もあるので、その注意点はまた別の記事でお伝えできればと思います。

※僕の環境ではそうなっただけという話なので、一般に手入れをしていないPCでも同じように性能が戻るかどうかは分かりません。あくまで、ホコリの除去とグリスの塗りなおしで、性能が戻る場合もあるという一事例に過ぎないということはご注意ください。

終わりに

ファンにあんなにホコリが詰まっているとは思っていませんでした。

今回はホコリを取り除くという作業と、グリスを塗りなおすという作業の両方をやる前と後でしかテストをしなかったので、ホコリを取るだけでよかったのか、ホコリを取り除いた上でグリスの塗りなおしも必要だったのかは分かりません。

さすがに、一回分解してホコリを取り除いてから組みなおしてテストして、さらにもう一回分解してグリスを塗りなおして組みなおしてって作業はやりたくないです。面倒なので。

とは言え、両方とも熱排出に影響していそうではあるので、せっかく分解するなら、グリスの塗りなおしもホコリの除去も両方ともやってみればいいんじゃないかと思います。グリスが手元にないとか、CPU周りをいじるのは怖くてやりたくないとかなら、ホコリを取り除くだけでも効果はあるような気はします。

個人的には、Cinebenchスコアと体感速度の統計調査をやって、どういうスコアならどんな使用感なのかを定量化してみたいなぁなんて思いましたね。

付録

パフォーマンスモニターでの温度監視の方法

この記事では、パフォーマンスモニターを使いましたが、その起動方法です。

右下のWindowsボタンを右クリックすると、メニューの中に「コンピュータの管理」というものがあるので、それを選択します。

すると、新しくウィンドウが出てきて、一番左側に「システムツール」やら「記憶域」やらといった項目が並んでいます。そのシステムツールの中の「パフォーマンス/モニターツール/パフォーマンスモニター」を選択すると、一つ右にグラフの枠らしきものが表示されるかと思います。

次に、その上にある「+」マークをクリックします。すると、また新しくウィンドウが開きますので、そこで「Thermal Zone Information」をクリックします。項目がいくつか表示されると思いますが、その内の「Temperature」をクリックします。

その状態で、同ウィンドウ内の「追加」ボタンをクリックして、「OK」をクリックします。コンピュータの管理ウィンドウで、新しくTemperatureという項目が追加されるので、それをクリックします。すると、温度が表示されます。

ただし、この温度は単位がK(ケルビン)となっているので、日本人によく馴染みのあるセルシウス温度(セ氏)に変換するには273.15を引く必要があります。

以上が、パフォーマンスモニターを使った温度計測の方法です。

今回使用した道具類

作業中に使ったのは次のドライバーセットです。個人的には次の3点が嬉しかったです。

  1. コンパクト
  2. ねじの先端がマグネットになっている
  3. プラスチックのテコ棒が3つ付属している

そのうちMacのジャンク品を買って修理してみたいと思ってたりするんですが、Mac製品は特殊なねじが使われていることがあります(星形ねじとか)。そんなMac製品の修理をするときにも使えそうなドライバーヘッドから、見たこともないものまであって、種類が豊富だなぁなんて思いました。

それくらい種類が豊富な割に、ケース自体がコンパクトで、とても収納しやすかったのが、個人的には嬉しかったです。

ドライバーヘッドがマグネットになってるおかげで、くぼみの中にあるねじを取り出しやすかったです。特に、指が入らないくらい狭いくぼみにあるねじを回すときは重宝しました。

テコ棒ってのはリンク先の図を見ていただければ分かるかと思います。隙間にマイナスドライバーを入れて、てこの原理を利用して開くみたいなことをしたくなることがたまにあったんですが、そこで金属製のマイナスドライバーを使ってしまうと、どうしてもプラスチック製のPCケースには傷がついてしまいます。

ですが、このドライバーセットに付属のレバーはプラスチック製なので、あまり傷つける心配をせずに使えるんで、PCをなるべく綺麗に使いたいという僕には嬉しかったです。

まぁ、なんだかんだと書いてきましたが、結局はドライバーなので、好きなドライバーセットを自由に選んでもらえればと思います。

グリスはこちらを使いました。調べてみると、偽物が出回っている可能性があるらしく、なんとなく気持ち悪いので、誰でもが出品できるAmazonではなく、PCパーツ販売の大手ドスパラで購入しました。その方が、出品元をしっかりとチェックしてそうな気がしたので。

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